2023年6月2日公開の映画『怪物』を観た感想です。
どんな映画？
監督：是枝裕和
脚本：坂元裕二
音楽：坂本龍一
『万引き家族』でカンヌ国際映画祭最高賞パルム・ドールに輝いと是枝裕和監督が、「今一番リスペクトしている」と語る脚本家の坂元裕二と初タッグ。坂元は『花束みたいな恋をした』やTVドラマ「大豆田とわ子と三人の元夫」などで圧倒的な人気を博す、新作が待ち望まれる脚本家だ。また音楽は、『ラストエンペラー』や、『レヴェナント：蘇りし者』など、海外でも第一線で活躍した坂本龍一。映画史上、最も心を躍らせ揺さぶる奇跡のコラボレーションが実現した。
出演は、安藤サクラ、永山瑛太、田中裕子ら変幻自在な演技で観る物を圧倒する実力派と、二人の少年を瑞々しく演じる黒川想矢と柊木陽太。その他、高畑充希、角田晃広、中村獅童など多彩な豪華キャスティングが集結する。
いったい「怪物」とは何か。登場人物それぞれの視線を通した「怪物」探しの果てに、私たちは何を見るのか。その結末に心揺さぶられる、圧巻のヒューマンドラマ。
（公式ホームページより引用）
第76回カンヌ公くさい映画祭で脚本賞を受賞。
公式サイト：https://gaga.ne.jp/kaibutsu-movie/
あらすじ
大きな湖のある郊外の町。
息子を愛するシングルマザー、
生徒思いの学校教師、そして無邪気な子供たち。
それは、よくある子供同士のケンカに見えた。
しかし、彼らの食い違う主張は次第に社会やメディアを巻き込み、
大事になっていく。
そしてある嵐の朝、子供たちは忽然と姿を消したー。
（公式ホームページより引用）
感想
すごく考えさせられる映画でした。そしてとてもよくできた脚本。かなりオススメです。
ひとことで言うと、「怪物だーれだ」っていう映画です。その答えをあなたなりにみつけましょうってことだと思いました。
以下ネタバレを含みます。
この映画は、ある小学校での事件について、3つの視点で描かれています。まず第1の視点は湊の母でシングルマザーの早織（安藤サクラ）。湊がいじめられていると疑い学校に怒鳴り込むと、建前の応対しかしない先生たちに苛立ちます。形だけの謝罪を繰り返す先生たちが早織にとっての怪物です。息子の様子はおかしいし、校長の態度も不気味で、第1の視点はサスペンスのように描かれます。
第2の視点は担任の先生の保利（永山瑛太）。早織の視点では怪物だったのに、「あれ？意外とまともな先生だ。」って思えます。先生からすれば、逆に早織がモンスターペアレント＝怪物だし、謝罪を強要する校長や教頭も怪物で、依里をいじめる湊も怪物に見えます。先生として頑張っているのに、怪物に巻き込まれて人生が狂っていく、切ないお話です。
そして第3の視点は湊。同じ出来事を、時間を戻して3つの視点で描いて、湊の視点で伏線がどんどん回収されていくのが秀逸です。
繰り返し描くことで、自分が見ていることだけが真実ではない。見えてないところに真実が隠されている。自分が正しいと思うことも、誰かにとっては間違いかもしれない。ということがだんだんわかってきます。
「怪物だーれだ」の答えは、偏った見方で誰かを怪物だと決めつけてしまう登場人物たち…ではなく、「映画を観ている自分」もそうなのではないか…と気付かされるのです。
オススメ度
10点／10点満点
満点以外つけれません！！それぐらい素晴らしい！！
